
吸血蛾
これを直接受け取った弟子の話によれば、相手は西洋の牧師のようなつばの広い帽子をかぶり、灰色の外套の襟とマフラーによって顔を隠した怪人物であった。二作を続けて読むと、まるで『幽霊男』も本作の狼男も正体は同じ人間で、またしても別の趣向で世間と探偵に挑戦したといった『二十面相と少年探偵団』のシリーズのようですね。
同じ雑誌に掲載されたからだろうが、本作は前年の『幽霊男』と多くの点で類似しており、着想も手法も、テイストも共通している。オオカミつきの伝説によみがえった血も凍るオオカミ男の跳梁に挑戦する名探偵金田一耕助の推理は……。中間部で「著者は風俗小説を書くつもりはないから」といってショーの場面を省略している下りがあるが、これも単なる言い訳で、私には取材を怠ったようにしか感じられなかった。
村越徹はたしかに意外な犯人だが、それよりも文代を中心とした秘密が明らかになり、それまでの物語が転覆することの方が面白い。その後もアドバルーンに切断した女の足を吊るして街を騒がせたり、ラインダンスに紛れ込ませて客に悲鳴を上げさせたりと、挑戦的なまったく異常な行動に出る。
横溝正史の同名探偵小説を、怪談映画の巨匠・中川信夫監督が映画化。





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