
復讐するは我にあり
殺人を犯しながら詐欺を続ける主人公を緒形拳が、圧倒的な迫力で演じ、その周辺を固める父親役の三國連太郎、ミヤコ蝶々、小川真由美、清川虹子、倍賞美津子らとの複雑で不条理な人間関係が濃密に描かれる。幼少の頃からの非行、青年期には何度も前科を背負い、最後には何人もの人間を殺しながら逃亡を続けた人物の光と影を描いている。
(『砂の器』は癩病(ハンセン病)患者への”差別反対啓蒙映画”ではなく、当時はそれ以外の対応が出来なかった周囲の人々、そして時代背景。今村昌平監督としては、傑作「神々の深き欲望」以来10年ぶりの本格的な映画作品で、前作をも凌ぐ気合の入った作品になりました。その重大な要素をしめる父親(三國連太郎)との確執は、すさまじい表現力で画に定着されてますよん。
主役の犯人役・榎津巌を演じる緒方拳、周りの役者の素晴らしい演技力に引き込まれながら、「榎津巌はどうしようもない人間ですね。 直木賞を受賞した佐木隆三のノンフィクション小説を原作に、名匠・今村昌平監督が映画化した、その名に偽りなしの問題作。ラストは骨になっても空から2人を見張るように、空に舞う遺骨のストップモーションで終わりますが、最後まで見る者を圧倒する演技と映像で迫ってきます。

